アルコールに溶けた錠剤は真っ青でキラキラとひかっている。ストローでかき混ぜるとその液体は波を立ててくるくるとまわった。それはまるでわたしの頭の中のように、狭い水槽のように、テーブルの上に放置されている腐敗した薔薇のように。この類をアルコールと共に身体の中へ流し込む行為をはじめたのはいつだったか。

立つのも歩くのもやっとなくらいに頭がふらふらして記憶が無くなる幸福の魅力に取り憑かれてしまったわたしに残るものって一体なんなんだろうか。

 

いつしか錠剤とアルコールと煙草はわたしのなかでの神聖な行為としてその立場を確立していた。

 

奈落の底に落ちていくのは容易い。花に止まる蝶のように、ひらひらと。それはとろけてしまうジェラートのようにやわらかい。

鏡に映った真っ赤なルージュがいやらしくてあわててすぐに拭き取る。

 

今までの間、ずっと関係性に名前なんていらないと思っていたのに。本気でそう思っていたのに。口に出してしまったが最後、わたしは関係性に名前が欲しいと思ってしまったのだ。なんて態とらしくて厭らしくてあまのじゃくな、狡い女なんでしょうか。でもわたしはどうしてもそれが欲しかったのです。彼に対して自分自身をきつく縛り付けるための名前が。

 

底へ落ちていくのが容易いように、今のわたしは嘘を吐くことですら甘く感じてしまう。コピーアンドペーストした笑顔に本や映画や音楽で聞いたような発言を沢山切り取って、口を開く。

自身の部屋にあふれた嘘の臓物はバニラの香水の様にまとわりついて、それは自分の首をじわりと締め付け、今にも窒息しそうで。しかし、その時に合間見える景色はアダムとイヴが追放された楽園か、目を閉じたらチカチカ光る紫色の麻薬のように艶やかだった。

 

 

ふと、目を横切った蜂が蜘蛛に捕らわれていた。

 

林檎も蛇も無花果も葡萄もここにはきっとないだろう。それでも信じていたい体温に絆されたまぼろしの様な忘れられない夜だったから、どうかここにだけは遺させて欲しい。

 

 

p.s. 去年のわたしへ

二十歳になりましたが未だなんとか生きています。いつもお疲れ様。

 

 

クリスマス

阪急百貨店でお買い物。好きなお客のおじさまにはTHREEのメンズラインを。私は憧れのトム・フォードに寄って憧れのロストチェリーを嗅ぐ。あぁなんていい匂い。これは私が憧れ続けている香水で、これが似合うおとなになるまでは買わないと決めている。いつもの通り人が犇めく百貨店の中で人目も気にせずうっとりする私にお姉さんはこちらはいかがですか?と手渡した。「ノワールノワール」これまた素晴らしい蠱惑的な香り。黒の中の黒という意味。パチュリが甘く気だるく香る。スパイシーでムスクっぽさも充分あるのだけれど、バニラやキャラメルのような甘みも感じられて蕩けてしまいそう…これだから香水って楽しい。やめられない!ジョーマローンのビターオレンジを買ったばかりと言うのにどちらも!と言う気持ちをぐっと押し殺して後者を手首に振りかけていただく。なんてすてき…  ロストチェリーを買う前にこちらを購入してしまうかも。

そのあとは目的のお買い物も忘れて(ママへの買い物)手首の香りに酔いしれていたら家に着いていました。おしまい。

鬱が酷い

 

その辺の繁華街のその辺のラブホテルでこれを書いている。恋人と別れた。すきじゃないとあれほど言っていたにもかかわらず、わたしたちは変わらずセックスをしている。答えは単純明快、さみしいから。優しく抱かれたい、嘘でもいいから。

私には、0.01ミリすらも価値がないから股を広げることでしか優しくされない。若さ以外の魅力のない私は優しくされる手段がセックス以外にないのだ。

風俗で働こうか。今までの男たちへの復讐のために。

ほんとはお金なんていらない嘘でもいい。その場だけでもいいから優しくして欲しい。つらいよ。

 

手首はきらないことにした。商品価値が下がるから。根性焼きももうしないと思う。

誰かが私をセックス依存症とよんだ。

 

・親が全く知らないところで、セックスを使って自傷行為をしながら自分を苦しめ続けることが、親への復讐になる

 

「セックスとは、女の体を使って男を操り見下すためのもの」