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新しい恋人と付き合って半年が経った。
すきじゃない。
すきじゃないのに、恋人だ。
でも
すきと思っていない人とも出掛けられるし、楽しく愛を囁くこともできる。もちろん、キスも、性交渉も、できる。たとえその人のことをすきじゃなくても。
その人のために死ぬ以外のことなら 大抵はこなしてみせる。
わたしにとっての愛は、わたしが消えることだ。
だからこの人とは別れない。
だからあの人の隣を離れた。
これがわたしにとっての哲学で、愛だ。
そりゃ、すきな人しか抱きしめたくない、すきな人にしか抱きしめられたくない人間は多いだろう。
それで良い。
誰もわからなくていい。
わかって欲しい。
わかって欲しくない。
そのせめぎあいからいつまで経っても抜けられる気がしない。
愛は消える。ロウソクの炎みたいに、たばこの火みたいに、ピンク色の炭酸みたいに。
消えてほしくない、と思う。
ばかばかしくて、笑いが止まらなかった。
すきじゃない人に別れたくないと迫るわたしが、
気持ち悪くて仕方ない。