私に残ったもの
傷だらけの体、知らない男に売った汚れた体、メスで切り刻んだハリボテでできた顔、ベンゾ依存の脳みそ
幽体離脱
二度死んだことがある。
その衝動が現れたのは、1年前の春。
ふっと自分がTPSのゲームのような存在になり、自分を操作して動く私。
足は少し浮いていて、ジェットコースターに乗っている時みたいなGとふわふわした浮遊感を感じる。
立っているのか、生きているのかもわからなくて、必死で自分の腕に爪を立てる。痛みは鈍感になっていて、あまり痛くは無かったけど、僅かでもその痛みで生きていることを実感できた。私にとっての救いの綱は自傷だけだった。
2度目、働いていたbarの閉店最終日。
大盛況の店内の中でそれは突然起こった。
バーカウンターの中で笑顔を貼り付けるように自分に指示して、立っているかも分からなくなった。必死に立っていることを自覚するために固い壁に背をつけた。
突然の離人、離人感、幽体離脱、トイレで必死に検索する。対処法は出てこない。
このまま何もしなかったら意識が飛びそうだった。別人格の私に切り替わって迷惑をかけると思った。
必死に、自我を保てるように肉へ爪を食い込ませた。
慌ててデパスを飲む。効かない。もう1錠、と飲む。効かなかった。
5時間ほど耐え、どうやって会話して、どうやって帰ってきたかも分からないけど、はっきりと覚えているのは家のベッドに横になっていたこと。猫が居たこと。
今になってもあれは何だったのか分からない。離人症?幽体離脱?臨死体験?それとも、統合失調症?
主治医に伝えると、訝しんだ顔で見られた。
それ以降人に言えていない。
信じて貰えないし。
ツミトバツ
サイレースをODした。
数年ぶりにどうしても腕切りたくなって、今週仕事全部休んじゃえ、切っちゃえって思ったけど、傷が治るまでの期間を想像してそこにあったサイレースを飲んだ。
私の体内真っ青になって綺麗かな?
死にたいと思うことはまだだいぶんあるけど、彼とレオンがいるからまだ死ねない。
レオンのお腹に顔を埋めた、ミルクのふわふわの匂いがした。
しばらく何もかもやめて閉鎖病棟に入るかどうか。数年前からずっと考えていること。
朝起きて、ご飯を食べて、タバコもやめて、お掃除をして、連絡を返して、そんなふうにきちんとした大人になれるかな。
私の病気はボダか躁うつ病らしい。でも違うと思う。
ただただ怠けているくだらない人間なだけ。
高校生の尊い私、精神病に憧れてたもん。
危うくて、儚くて、そんな女の子に憧れてたの。
でも私は本物じゃない。何者にもなれない。
ただのフーゾク嬢で、ギャンブル中毒で、金遣いが荒いだけのゴミ屋敷に住む女。
精神年齢は10代のまま。
訴訟を抱えて、死にたくて、なんで?
なんでこうなったの?なんでこんな人生なの?
素敵な夫、可愛い猫、素敵なおうち。
整形もして痩せて可愛くなった。
なんで?なんで満たされないの?
そう、結局私は可哀想な自分が好きなだけ。
自己陶酔に浸って、何も知らないのに知ったふりをする情けない、人間
私なんて生きてていいのかな?
もうやだ
死にたい
私はまだ大人に、憧れている
■
苦しめ。そう、もっとだ。
そんなことばが聞こえる。
ごめんなさい私の赤ちゃん、ごめんなさい神さま。
もっと苦しみます。死ぬことは逃げると言うこと。死なないように、自分を傷つけて、幸せにならない頑張りを行動で示します。あなたが望む通り。望む限り。
■
死んでしまった子供宛に手紙を書いた。
否、死んでしまった、ではない。私が殺した、子供宛に。
あの日から、私の心は死んだ。それは確かに。産んであげたかった、とはなんて無責任で残酷な。
私に勇気と強い心があったなら。
もし、